内装
■ 2020/10/10
コルクの床材の魅力
戸建ての床材を選ぶとき、1階はインテリア性や掃除のしやすさを念頭に置いて床材を選ぶ人が多いでしょう。
一方、2階の床材を選ぶときに問題になるのが、『音』です。「家族だけだから」「他人に迷惑をかけるわけではないから」と、軽く考えていると、後々家族の間でもストレスになる場合があります。
また、マンションならなおさら、他人に音の問題で迷惑をかけることになる可能性があります。
そのようなときに注目して欲しいのが「コルク」です。
コルクはワインの栓といったイメージもありますが、実は床材として非常に優秀なのです。
そこで今回は、コルクのルーツや床材としてのメリットについて詳しく紹介します。
コルクとは何でできているか
コルクは天然素材できていることは、なんとなく見た目から想像がつくでしょう。しかし、それがどのような素材からできているかは、あまり知られていないのではないでしょうか。
コルクは「コルクガシ」と呼ばれる木の樹皮からできています。樹皮を丁寧にはがし、加工した天然素材でできています。コルクガシは柔らかくて通気性があるため、いろいろな加工用品として使われています。
また、コルクはワインの栓として使われていることが多いですよね。
コルクという名前を聞いて、ワインの栓を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、「なぜワインの栓にコルクが使われるのか」を明確に答えられる人は少ないかもしれません。
ワインは空気に触れると酸化してしまい、味が劣化する特徴があります。逆に空気に触れないように保存をすれば、熟成がうまくいってと香味が向上するメリットがあります。
コルクは柔軟性、弾力性に富み、気体や液体を通さないという特徴があります。これにより液体を空気に触れさせることなく、腐敗させない効果が強いのです。
そのため、コルクはワインの栓として17世紀には活用されるようになりました。
コルクは床材としても使える
コルクはワインの栓だけでなく、実にさまざまな商品として使われています。特に断熱性に優れているため、鍋敷きやコースター、壁材としても活躍しているのですが、今とても注目されているのが床材としての用途です。
軽くて保温性の高いコルクは、多くの建築現場でも活用されています。
コルクの床材のメリット
断熱性
コルクは、触ってみてなんとなく分かるように断熱性があります。金属は寒い時期になると外気の気温と同じように冷たくなりますが、コルクの場合は外気に関係なく、弾力性とともに保温性も高いです。
コルクの内部には目に見えないような小さな気泡が無数にあり、たくさんの空気を含んでいます。空気を含んでいるということは保温性もあり、床材にすることで冷たさを感じにくくさせます。
真冬のフローリングでは、裸足で歩くとかなり足裏が冷えてしまうでしょう。しかし、コルクなら空気を含む分断熱性が高く、裸足で歩いても足が冷えにくいというメリットがあるのです。
防滑性
コルクには防滑性があり、滑りにくいという特徴があります。
そのため、保育園や児童館などでも床材にコルクが用いられている施設は多く、裸足で走り回る子供たちでも転びにくいメリットがあります。また、滑りにくいので高齢の方のいる家庭にもおすすめの床材になります。
フローリングはワイパーなどで掃除がしやすいというメリットがあるものの、靴下ではとくに滑りやすいというデメリットがあります。滑りやすい床は人にとって危険というだけでなく、飼っているペットにとっても危険を伴います。
小さな子供や高齢の方がいたり、ペットを飼っていたりする家なら、コルクの床材を敷き、滑りにくく安全性を高めておくことがおすすめです。
遮音性
コルクには弾力性があるため、何か固いものを落としても衝撃を吸収し、音を響きにくくさせる効果もあります。
例えば、間取りの都合で2階の子供部屋の下に寝室をつくることになった場合、下にいる人は子供の足音が非常に気になるでしょう。2階の人が鉛筆を床に落としただけでも、下の部屋に音が響くこともあるのです。こうしたケースは子供部屋にコルクマットを敷くだけでも、だいぶ音を遮断することができます。
コルクの床材のデメリット
とても利便性の高いコルクの床材ですが、利用するには少し注意が必要な部分もあります。床材として利用する際には、コルクのデメリットも知って上手に付き合っていきましょう。
強い臭い
なかには、臭いが強い商品もあります。コルクの床材は、通販などで1畳から簡単に購入することもできます。こうした商品は「コルクマット」とも呼ばれ、パズルのようにして組み合わせて使うことも可能です。
一般的なコルクマットの場合、樹脂製接着剤を使用して安価に製造されていることが多いです。しかし、商品によっては、この樹脂製接着剤の臭いがきつく、床に敷くことにより部屋全体が臭うといったことも考えられます。
強い臭いが苦手という方は、輸入品ではなく、国産品を選ぶようにしましょう。国産の天然素材をうたった商品を選べば、 接着剤が使われていない場合がありますし、コルク本来の芳香を楽しむこともできます。
反り
あまりにも薄いコルクマットを選ぶと、床材として利用しているうちに「反り返る」ことがあります。
コルクマットの多くはコルクとスポンジが一体化しており、それを床に置くことによりずれにくくしています。
しかし、コルクとスポンジの場合、コルクが徐々に収縮して、結果的にマットが反りかえることがあります。こうなるとつまずく原因にもなり、怪我をしやすくなってしまいます。
そのため長期間コルクの床材を敷く場合は、安価なものを自分で敷くのではなく、業者を呼んで専用のコルクフローリングを設置してもらった方が賢明でしょう。
へこみ跡
コルクの床材は、フローリングに比べると弾力性があります。その反面、重いものを長期間置いておくと、その場所がへこんでしまい跡が残ることがあります。
子供が遊ぶスペースにだけコルクマットを敷く、といった使い方なら良いのですが、部屋全体にコルクマットを敷き詰めて家具を並べるとなると、家具の場所はへこむ可能性が高いです。
へこんで跡が残るということは、地震のときに設置している家具が不安定になることも考えられます。
そのため、コルクの床材を設置する際は、跡が残るリスクや、安全性も考慮して設置する必要があります。
まとめ
コルクの床材はフローリングと違い、弾力性や保温性があるので、小さな子供やペットがいる家庭にはピッタリです。
そして、天然木から作られているため見た目にもぬくもりがあり、簡単に交換がしやすいというメリットもあります。
商品のなかには自分で設置できる小さなコルクマットもあるので、「まずは2階の音をどうにかしたい」といった際に、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。